ハンナの祈り

  以前にもこのコーナーで紹介したことがありますが、旧約聖書にハンナという女性が登場してきます。

  ハンナは不妊症の女性でした。夫エルカナは、ハンナを愛していましたが、もう1人ペニンナという女性を妻としていました。彼女との間には娘も息子もたくさんもうけています。

  多分エルカナは、子のないハンナの方により愛情を抱いていたと思います。ペニンナにも、そこのところは分かるのでしょう。子を持たないハンナをことさらにいら立たせる事を意図して振る舞うのです。このためハンナは泣いて食事をしようともしませんでした。エルカナがいくらなだめても、ハンナの気持ちはおさまりませんでした。

  ハンナは主の宮に祈りに行きました。 「ハンナの心は痛んでいた。彼女は主に祈って、激しく泣いた」 と聖書には書いてあります。祈りが深みに達し、あまりにも祈っている時間が長いので、祭司は、酔っぱらっているのかと思い、酔いをさますようハンナに忠告します。

  ハンナは、 「いいえ、祭司さま。私は心に悩みのある女でございます。(中略)私は主の前に、私の心を注ぎ出していたのです。(略)私はつのる憂いといらだちのため、今まで祈っていたのです」 と申し上げました。

  それから、彼女は家に帰り、食事をとりました。 「彼女の顔は、もはや以前のようではなかった」 と聖書は書き記しています。

  彼女は彼女の祈りと願いが、神の前に届いたことを知ったのです。そして今や必ず神がなしてくださると、疑う余地なく信じ得たのです。それゆえ、彼女の顔が変わったのです。

  心の痛みやいらだちは私たちにも許されています。ハンナが頼った主のもとに、あなたも身を避けてきませんか。主のあわれみは深く、主のなぐさめは真実です。この方に信頼する者は失望させられることがありません。

※聖書の引用はサムエル記第一1章より。

イスラエル北野

み声新聞2005年10月9日号(332号) 」 転載についてみ声新聞社の承諾済み(無断転載不可)