絶縁状態だった弟とも和解が!<後編>

「主イエスを信じなさい。  そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます」・・・・・使徒の働き16章31節

 

アルコール依存症だった日出子さんのお父さんは、家族から絶縁状態にされ、一人暮らしを余儀なくされた。不摂生が元で、栄養失調から肺炎を起こし集中治療室に緊急入院となる。「このまま、不幸なまま死ぬのか…」と考えるとつらくなったが、ご主人の「退院したら、うちでお義父さんを引き取ろう」という言葉に心励まされ、希望を持った。イエス・キリストの御名によって悪霊を縛る祈りをする中で、神にある家族の愛と祈りによって救いを受け、いやされ解放された。

 

「酒もたばこも欲しくない!」

 

父はイエスさまを個人的な救い主として信じ、救われ、主のみわざはその後も続きました。 1週間ほどしてわたしは、救われた父の部屋にお酒の瓶がまったくないのに気付きました。父に「お酒の瓶は?」と聞くと、「あの時から酒もたばこも欲しくなくなった!」と言うのです。すごいことが起こったと思いました。  また、子どもたちが「じいちゃん、心がすごく柔らかくなったよ」と言うのです。家族の誰の目から見ても父の変化は明らかでした。 その後、主人が牧師になり神戸アンテオケ教会へ異動となりました。異動して初めての主日礼拝に父が「おれも行く」と言い、家族と一緒に教会に行きました。父にとって生まれて初めての礼拝出席となったのです。そして、その後も礼拝に欠かさず出席しました。  白馬キャンプにも2度行き、会衆賛美の時には両手を上げて礼拝していました。長男は昔の父を知っているので「じいちゃんが両手上げて賛美するなんて信じられん」と言って見ていました。

 

新たに病許され…弟との和解が導かれる

 

 神戸にいる時、父が胃がんであることが分かり、手術すれば大丈夫とのことで入院し手術しました。そして無事手術を終えたのですが、呼吸がうまくできず、手術後に起こしやすいと言われていた肺炎になってしまいました。医師から「深刻な容体です。元気がないので息子さんに会わせてみたらどうでしょう?」と勧められたのですが、これまでのことを思うと無理かなと思った反面、でも以前とは違い、わたしも父もクリスチャンになっているし、イエスさまに求めれば祈りが聞かれるかもしれない、と思いました。 祈りつつ電話をしてみますと、弟の対応は温かく、父のことを心配してくれました。以前のわだかまりがうそのようでした。  弟は北九州から神戸まで、父に会うためだけに来てくれたのです。父もかなり驚いた様子で、また喜んでいるのが分かりました。父は弟の2人いる子どもを一度も見たことがありません。  弟の家族のことなどを聞いた後、顔を下に向けたまましばらく沈黙した後、泣きだしそうなのをこらえるようして、弟に、これまでの自分のことを謝りだしたのです。「お酒飲んで暴れて本当に自分はおかしかった。許してくれ」。弟も泣きそうなのをこらえるように「分かったから。もういいよ」と、優しく答えていました。また、わたしの家族にも「いとこ同士、会わせてやりたい」と言ってくれ、絶縁状態になっていた弟との和解ができたのです。  イエスさまを信じることでわたしの病(統合失調症と診断されていた精神病)もいやされ、父はアルコール依存症から解放され、このような和解を与えてくださった主に心から感謝しています。

 

「行って来るぞ!」が・・・・最後の言葉

 

父が天に帰って行ったその日。  いつも黙って出かける父が、なぜかその日はわたしを呼び、「行って来るぞ!」と言って出かけました。それが、父との最後の会話でした。デボーションの聖書個所は「彼は自分の国へ帰って行った」(出エジプト記18章27節)でした。  父の死因はおもちをのどに詰まらせ、窒息によるものでした。かなり苦しかったのではと思うのですが、苦しんだと思えないほど安らかに眠っているような顔でした。召天式に来てくださった方々も同じことを言っていました。     父はアルコール依存症だったがために、絶望感に苦しみ、長い年月を費やしましたが、その長い苦しみによって神さまを信じるに至ったこと、すべては益にされていることを見てきたように思います。  またわたし自身、父が救われたことを通して体験した「イエスさまにできないことなど何一つない」という信仰は、主に従って歩む上で大きな盾となっています。主に心から感謝し、すべての栄光を主に帰します。

(東京都 前田日出子)

 

 

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