幻のCDデビュー 
ロッキー山脈からPraise the Lord!(プレイズ ザ ロード!)

※ 「ロッキー山脈からPraise the Lord!」は、月刊「雲の間にある虹」(雲の間にある虹出版)の人気連載です。 当コンテンツでは、上舘牧師の感謝の証しが含まれている記事をそのまま転載しております。

 

 夫の職場で、親会社が倒産したため、人員削減が始まった。誰がクビになるのか、みんなピリピリした様子だった。しかし、職場の上司がどう考えよう とも、神様がすべてを支配しておられ、神様が私たちに最善をなしてくださっているから、神様に信頼しようと私たちは話していた。


  そんなある日、夫が遅番で夜11時に売上金を金庫に入れて家に戻ると、次の日の朝、アシスタント・マネージャーから電話が入った。「売上金がなくなってい る」という内容で、明らかに夫が疑われているのが分かった。「職場内だけで調査するのではなく、警察に介入してもらいたい」と夫は上司に伝えたが、結局、 夫は仕事を辞めることになった。「私たちは一体どうなるのか?」と思ったが、まずは家族でこの状況をそのまま感謝し、主をほめたたえた。明日からの生活が どうなるか分からない状況だったが、「ここは、ひとつ、おいしいものでも食べに行くか!」ということで、食べ放題のレストランに行った。


  夫は3日間ゆっくりと休み、職探しを始めた。用事があって出掛けていた私は、家に戻るなり、「どうだった? 仕事あった?」と夫に聞いたところ、ニコニコ して「イエ~ス」と答えたので、主をほめたたえた。「で、どこの会社?」と聞くと、辞めた会社の名前だった。なんと、お金の疑いが晴れ、ゼネラル・マネー ジャーから「どうしても戻ってきてほしい」と頼まれたのだそうだ。それも、「休んだ分も給料を支払うので戻ってきてほしい」と言うことだった。問題が許さ れたが、結果的に、有給の夏休みが与えられた形となった。Praise the Lord!

 

 さて、先月号にも書いたが、夫は7月にCDデビューをすることになっていた。着々と準備が進み、レコーディングの1週間前には、レコーディング用 のオケも出来上がり、夫のバックで歌うクワイヤーの練習が行われていた。夫が作った「 Jesus didn't forget about me」という曲を、3部のコーラスで、クワイヤーが美しいメロディーで歌っていた。神様のご臨在にふれられ、何人ものメンバーが涙を流して歌っていた。し かし、その後事件は起こった。


リーダーがクワイヤー用にその曲をアレンジしたのだが、自分をアレンジャーではなく、共同作詞作曲者にしてほしいと言い出したのだ。夫はとてもお人よしな ので、きっと簡単にOKしてくれるものと思ったのだろう。しかし、夫は若いころ、著作権のことでだまされ、トラブルを経験しており、そこは譲れない部分 だった。それに、もうすでにその曲は夫の曲として登録済みなのである。それで、リーダーと大喧嘩になってしまい、レコーディング1週間前で、突然の幕引き となった。
まさかの展開だったが、すぐに「きっと、みこころが大きいんだ!」と思った。そして、夫と私と娘と3人で、徹底して踊って、拍手して、ジャンプして、神様 をほめたたえ、感謝し、喜んだ。すごく悪い状況が許されたのだが、感謝していく中で、ものすごい喜びに満たされていった。


  突然のキャンセルから2日後、あるゴスペル歌手から電話がかかってきた。夫に、彼女のCDのプロデューサーになってほしいという内容だった。そして、彼女も「 Jesus didn't forget about me」をCDに入れたいということだった。
  さらに、そのCD制作にかかわる奏楽者たちと会ったのだが、とても大きくて有名な黒人教会のミュージック・ディレクターの牧師さんを紹介された。その牧師 さんに、日本のゴスペルの働きのことを話すと、とても興味を示し、目を輝かせていた。神様からの促しを感じ、ダメもとで、「デンバーの日本人伝道のため に、ゴスペルのワークショップの指導をしてくれないか」と依頼してみた。すると快くOKをくださった。牧師さんは、依頼があれば、日本にも行ってワーク ショップの指導をしてもいいと話している。


  CDデビューは幻に終わったが、神様は新しいドアを開いてくださった。これから、どのような展開になるのかとても楽しみである。
  Praise the Lord!


(月刊「雲の間にある虹」2009年9月号に掲載分より転載)