タッチダウン 
ロッキー山脈からPraise the Lord!(プレイズ ザ ロード!)

※ 「ロッキー山脈からPraise the Lord!」は、月刊「雲の間にある虹」(雲の間にある虹出版)の人気連載です。 当コンテンツでは、上舘牧師の感謝の証しが含まれている記事をそのまま転載しております。

 

デンバーの中心地に16thストリート・モールという所がある。

モールといっても、大きな建物のショッピングセンターではなく、州議事堂近くからユニオン駅までの約1・6キロのストリートを、一般車乗り入れ禁止にして、無料バスが頻繁に走っていて、自由に歩ける通りのことをいう。

ヨーロッパ風のオープンカフェがあったり、いかにもアメリカという感じのハンバーガーショップがあったり、お土産屋さんや、ショッピングセンターもあり、とてもすてきな通りだ。  

 

この16thストリート・モールで11月からJゴスペルの路上ライブを始めた。毎週日曜日の午後3時頃、小さいキーボードを持ち、駐車場から無料バスに乗って行く。  

最初は、許可が必要なのかどうかも分からず、まずは、信仰の一歩でその場所に行くだけ行ってみることにした。ちょうど目の前にパトカーがいたので、 路上ライブをやるのに許可が必要なのかどうか聞いてみた。すると、その警官は、「許可など必要なく、デンバー市ではそういう路上ライブを歓迎しているはず だ」と言い、さらには、「私も聞きたいから、ここでやりなさい」と言ってくださった。その言葉に勇気付けられ、初の16thストリート・モールでの路上ラ イブが始まった。  歌は決してうまくはないが、何語を話しているんだろう???という興味を与えたようで、5、6人の通行人が立ち止まって聞いてくださっていた。

目の前の椅子に座ってジーっと目を閉じて聞き入っている方もおられた。30分ほどの路上ライブを終えると、目の前に座っていた人から「天使のような歌をありがとう」と言われた。Praise the Lord!  

 

さて、10月29日と30日に、夫の曲を歌っているプロのゴスペル歌手、アンシェリアのゴスペル・コンサートが行われた。いろんな教会の協力を得 て、ほぼ満席となり、コンサートはとても盛り上がった。今回のコンサートは、ライブビデオの撮影も兼ねており、撮影はコロラド・フィルムスクールの方々 に、そしてオーディオはテレビ局に勤めていた20年のキャリアを持つ音声のプロの方にお願いしていた。機材のレンタルなどにかかった費用は600ドル。  

コンサートは無事終了し、ホッとしていたところに、事件は起こった。音声のプロA氏から受け取ったコンサートのCDを聞いたら、CDの一番最初に 「テスト、ワン・ツー」という言葉だけがあり、そのあとの、肝心のコンサートは何も録音されていなかったのだ。コンサート1日目にも、2日目にも、A氏は 「ばっちり、いい音が取れているよ。心配ない」と言っていた。ところが…、音は全く取れていなかった。頭の中を羽の付いた600ドルがパタパタパタ…と飛 んで行ってしまった。  

夫は本当にがっかりした様子だったが、こういう時にこそ、教会で学んでいる「感謝と賛美」の実践をしよう、ということになり、気持ちは伴わなくと も、とにかく感謝を始めた。「音声のプロ、A氏が、あれほど大丈夫と言っていたのに、何の音も取れていなかったことを感謝します」「機材のレンタルにか かった600ドルを感謝します」「みんな無料奉仕なので、誰にも文句言えないことを感謝します」「すばらしかったコンサートの歌が1つも録音されていな かったことを感謝します」しばらく感謝は続いた。  

 

そんな時、ふと、頭の中にこんなアイディアが浮かんだ。夫が大好きなフットボールで、タッチダウンするとたくさん得点が入るので夫はすごく大喜びする。そのダッチダウンの喜びを、感謝と賛美に適用したらどうか! と思ったのだ。

そして、夫に話し、やってみた。すると、たった1回やっただけで想像を超えた喜びがやってきた。数回やったら、もう、この悪い状況がうれしくて、うれしくて、たまらない状況に変わった。  

「主を喜ぶことはあなたがたの力であるから」と聖書にあるが、その力がちょっとやそっとの力でないことを感じた。


(月刊「雲の間にある虹」2011年1月号に掲載分より転載)