推薦状 
ロッキー山脈からPraise the Lord!(プレイズ ザ ロード!)

※ 「ロッキー山脈からPraise the Lord!」は、月刊「雲の間にある虹」(雲の間にある虹出版)の人気連載です。 当コンテンツでは、上舘牧師の感謝の証しが含まれている記事をそのまま転載しております。

 

月日が経つのは早いもので、ついこの間生まれたと思っていた娘が、もうすぐミドルスクールを卒業する。

5月で終わるのだが、今、高校選びをしている。アメリカの高校は日本と違って、入試がない。

1つの高校の中に、ものすごく成績の良い人たちが入る特別なプログラムのクラスがあり、そうじゃない人たちのクラスがある。  

学区からすると、ジョージ・ワシントン・ハイスクールかイースト・ハイスクールなのだが、祈ったとき、この2つの学校は神さまの導いている学校ではないと示された。導きを求めていく中で、芸術学校が示されているように思った。

この学校は中高一貫なので、通常は6年生からスタートする。中途で入る場合は、欠員が出た分しか募集しないので、結構入るのが大変らしいが、トライさせてみた。  

 

入学試験ではなくオーディションがあり、「どうしてこの学校に入りたいのか」というタイトルのエッセーと、通っている学校の音楽の先生と別の科目の 先生からの推薦状と、履歴書が必要だった。娘は歌でオーディションを受けたのだが、オーディションの前日、事件は起きた。  アメリカらしいというか、オーディションには正装してプロのような出で立ちで行かなければならず、前日、美容院に連れて行った。学校を30分早引きして 美容院に向かったが、娘は髪型のことばかり考えていて、大事な推薦状を取りに行くことを100%忘れていたのだ。全然気付かず、美容院を出たときには、夜 7時近くだった。すぐ隣のマックで夕食を取っていたとき、娘が突然、推薦状を忘れたことを思い出したのだが、時すでに遅し。

「本当に、こんな時に、よくも賜物を発揮してくれるよなー」と思った。私の遺伝子を受け継いでいるので、この「おっちょこちょい」には本当に参る。でも感謝した。  

 

すると、たまたま奇跡的に、娘が、音楽の先生の電話番号を持っていたので、音楽の先生からは推薦状をもらうことができた。残りは、理科の先生。番号案内で調べようにも、同姓同名がたくさんいて分からなかった。  

娘の同級生に、学校の校長先生の娘がいて、最後の手段で、彼女にお願いして、理科の先生の連絡先を校長先生に教えてもらいたいと頼んだ。しかし、ここはアメリカ。日本とは違い、校長先生は他の先生方の個人情報は持っていないとのこと。

「これで希望がなくなった」と思ったが、気を持ち直し、娘と2人で寒空の中、バス停でバスを待ちながら徹底して感謝した。推薦状がだめならだめで、だめなことに神様の最善があるのだから、どうであれ、とにかく感謝、感謝……。  

周りに人がいたが、日本語なんて分からないだろうと思い、感謝していたら、見知らぬ女の子が近寄ってきて、突然こう言った。「私の名前はホープ。ホープは日本語でなんていうの?」びっくりした。そして思った。

「希望(ホープ)が来た。」何だか、心が明るくなった。  

その日の夜遅く、奇跡は起こった。  

 

娘の携帯メールに、校長先生の娘からメッセージが届き、「お父さんがあなたのために推薦状を書いて、郵便受けに入れておいたから、夜遅くてもいいし、明日の朝早くでもいいので、勝手に開けて持って行ってね」と書いてあった。まったく予期しない展開だった。

立派な縁取りのある薄いグレーの紙に、娘を推薦する校長先生の文章とサインがあった。Praise the Lord!   

最悪な状況の中に、神様の最善がなされていた。ハレルヤ!

 

(月刊「雲の間にある虹」2011年3月号に掲載分より転載)