連載第62回 感謝祭
ロッキー山脈からPraise the Lord!

 ※ 「ロッキー山脈からPraise the Lord!」は、月刊「雲の間にある虹」(雲の間にある虹出版)の人気連載です。 当コンテンツでは、上舘牧師の感謝の証しが含まれている記事をそのまま転載しております。


 11月24日は感謝祭だった。大晦日や正月でも開いているファーストフードのお店でさえ、この日はお休みか、半日だけの営業となる特別な日だ。感謝祭は、イギリスから移住したピルグリムファーザーズたちが、最初の収穫を記念し、神様の恵みに感謝してご馳走をいただいたのが始まりなのだとか。

  どこの家庭でも、七面鳥にマッシュポテト、グリーンビーンズなどのキャセロール、クロワッサンとかロールパンなどのパン類、パンプキンやスイートポテトのパイなど、テーブルにのりきらないほど、たくさんのご馳走を用意して祝う。

 ところが、私の料理のモットーは「早くて簡単」。なので、何時間もかけて料理をする七面鳥など感謝祭の料理は、これまでしたことがなかった。まったくこだわりもないので、スーパーで売っている出来合いの七面鳥で十分だと思っていた。むしろ、焼肉と大好きなキムチでも食べてた方が幸せ…、とさえ思っていた。

 ところが、夫が仕事場から大きな袋を抱えて帰ってきた。上司から贈られた冷凍の七面鳥だった。せっかく頂いた物を無駄にすることはできないので、料理をすることにしたのだが、これが大変だった。解凍して、内臓を取り出し(と、言っても、もうすでに砂肝のような物が袋に入った状態でお腹に入っている)、よく洗って、バターを皮の内側にも外側にも塗り、お腹にスタッフィングと呼ばれるパンみたいなものを入れ、塩コショウして焼く。

 とにかく大きいので、焼くのに6時間ぐらいかかってしまった。   面白いのは、この七面鳥を食べる時に、甘いクランベリーソースを添えて食べること。普通の日本人は、この組み合わせを嫌うが、アメリカ生活が長くなると、これをおいしいと感じてくるから不思議だ。初めて作ったにしては、まあまあの出来だったと思う。でも、もう一生しなくてもいいと思った。

 さて、11月に新年度が始まった。新年度のみことばも与えられ、「よ~し、行くぞ~」と思ったのも束の間、何と、些細なことで夫婦喧嘩をしてしまった。喧嘩というより、冷戦と言った方がいいかも。
  そんな状態であったが、いつもの時間になったので、感謝の祈りの時をもった。リビングルームを歩きながら手を上げたりして神様を賛美したり、いろんなことを感謝するのだが、その日は、冷戦のせいで、なんとも力ない感謝だった。少ししたら、驚いたことに、夫が感謝に加わってきた。予想外の展開。ところが、2人で感謝の祈りをするも、表情も声も、暗い、暗い。ボソボソボソと感謝の言葉を言いながら下を向いて歩いた。
  そんな時に、ふと、頭の中を新年度のみことばが横切った。「喜びの声、賛美の声をあげ始めたとき…」(歴代誌第二20章22節)。ふっとわれに返った。「そうだ、喜ぶんだった」。すぐに冷戦を中止して夫に言った。「お父さん、リジョイス! リジョイス!」。そして、急に声のトーンを上げ、大きな声で神様を賛美し始めた。神様を喜び始めたところに、すごい神様の臨在を感じた。もう、大きな声で「ハレルヤ!」とか「すべての栄光は神様のものです」とか「全知全能の神様、御名をあがめます!」と言い、拍手したり、ジャンプしたりして喜んだ。それは、まるでターボ・エンジンとかスーパー・チャージャーにスイッチが入ったかのような勢いだった。
 あっという間に1時間が過ぎ、祈りを終えるころには、若き日の森田健作かのようなすがすがしさを感じることができた。

アメリカでは1年に1度の感謝祭だったが、私たちの教会では、毎日が感謝祭だなと、七面鳥を食べながら思った。Praise the Lord!

月刊「雲の間にある虹」2012年1月号より転載