第73回 Never Worry(心配しない)

※ 「ロッキー山脈からPraise the Lord!」は、月刊「雲の間にある虹」(雲の間にある虹出版)の人気連載です。 当コンテンツでは、上舘牧師の感謝の証しが含まれている記事をそのまま転載しております。

 10月11日に、デンバーのダウンタウン近くの老人ホームでゴスペルコンサートをした。初めての場所だったが、その豪華さに驚いた。素晴らしいインテリアデザインのハイライズ(高層マンション)の超高級老人ホームだった。その日は、20数名が集まっただけだったが、心を込めて神様に賛美をささげた。

 この日、夫のEjayが司会を担当したのだが、一般的な老人ホームでは、軽快なしゃべりがとても人気のEjayも、この超高級老人ホームでは苦戦が強いられた。誰も良い反応をしてくれないのだ。例えば、ゴスペルグループのメンバーを一人ひとり紹介した時、「こちらは、デンバー教会の千恵子さんです」と言うと、パチパチパチ…と拍手があり、「その隣は、ナオミさんです」と紹介すると、またパチパチパチ…と拍手があり、全員を紹介し、最後に「そして、私が司会を担当していますEjayです」と言うと、みんなそっぽを向いてしまい、たった1人だけがパチっと一回手をたたいただけだった。私の隣で「今日は手ごわいぞ。でも、神様にゆだねて、感謝しよう」とがんばる夫だった。

 その日の歌は、まあまあ楽しんでもらえているようだったが、流れが大きく変わる出来事があった。それは、私たちがやすらぎの歌11集から「Never Worry」を歌った時のこと。「この曲は、歌詞がとてもシンプルで歌いやすいので、ぜひ、一緒に歌ってください」と勧めてから、私たちが歌い始めたのだが、みんなが一緒に「 Never Worry, Never Hurry, You will never be late…(心配しない、あわてない、神様は遅れることがない)」と歌ってきたのだ。何度も何度も繰り返して歌ったら、さらに神様の恵みが注がれ、大合唱となった。それまで、私たちを隔てていた壁のようなものが打ち砕かれた瞬間だった。みんな笑顔で、歌い終わった時、思わず「まだ終わらないで…」とお願いする人もいるほどだった。

最初はどうなるかと思ったが、最後は笑顔で終わることができて、本当に良かった。Praise the Lord!

   さて、感謝の対応を学んでいる私たちだが、先日、とても感謝なことが起こった。家に帰って来た時、何となく、いつも持ち歩いているバッグが軽いな~、と思い、中身をチェックした。すると、財布が入っていなかった。車の中で1度財布を取り出した覚えがあるので、車の中に落ちているかもしれないと、車の中を探してみた。でも、なかった。いろいろ考え、車から家の玄関までの間に間違って落としてしまったのだろうか…? いろんな可能性を考えつつ、探していた。財布には、什一献金に取っておいた現金と、クレジットカード類と、免許証と、グリーンカードが入っていた。米国では、グリーンカードは不法滞在の人たちの間で高額取引されるという話を聞いたことがあったので、不安がよぎった。

 しかし、ここはまず感謝の対応を取らなければ、と心のスイッチを替え、悪い状況を感謝した。そして、「彼(主)に頼る者は決して失望させられることはない」とか「神様はすべてのことを働かせて益としてくださるのだから、このことも必ず益となる」など聖書の教えを自分に言い聞かせるように何度も何度も口にし、信仰の対応で感謝した。すると、心の中の恐れ不安は完全に取り去られ、「盗まれようとも、ネコババされようとも、私は大丈夫」と確信した時、ぐ~っと力が湧いた。  結局、財布は車のシートの所にはまっていて、無事見つかったのだが、パニックにならず、恐れに負けることなく、神様から力が与えられた恵みの時だった。

月刊「雲の間にある虹」2012年12月号より転載