試練の中で与えられた最高の職場

出西恵子(東京都)

●面接を受けても受けても不採用

 私たち家族は東京に来て4年になります。子供たちもみな小学生になりましたが、東京に来た当初は保育園に入れず、1年間待機児童でした。主人も働いていましたが、生活のために私自身も仕事をする必要があり、待機児童だったために、昼間は働けなかったので深夜のコンビニで1年間働きました。  1年たち、やっと保育園に入れたので、昼間の仕事を探し始めたものの、なかなか決まりませんでした。 条件に合う仕事を見つけては面接を受けるのですが、不採用。1カ月が過ぎ、2カ月が過ぎて、どんどん焦り始めました。特に何の資格もなかった自分に落ち込んでしまういっぽうでした。焦りから条件に合わないところでもいいから、とにかく早く仕事が決まればいいという思いになって、面接に行ったりもしました。

●弱さを感謝する

3カ月が過ぎようとしていた頃です。朝起きて、聖書を読んでいると、ある箇所が目に留まりました。それは、「わたしの恵みはあなたに十分である。というのは、わたしの力は弱さのうちに完全に現れるからである。」ということばでした。私は何の資格もなくとりえもない、弱い自分に落ち込んでいましたが、神様がその弱さを感謝しなさいと言ってくださっているのがわかりました。  聖書には、「すべての事について感謝しなさい。」とあります。それまでも感謝をしていたつもりでしたが、この時、この自分の弱さも心から感謝して、神様にお祈りすることができたのです。  それから数日後、朝刊の広告に求人案内が入っていました。それは自宅から徒歩5分の場所にある病院の求人案内でした。私は元々看護師になりたかったこともあり、医療関係の仕事を探していたので、条件にぴったりのところでした。しかも家から徒歩5分です。すぐに電話をして、面接を受けたのですが、即採用されたのです。私は神様が私のために私に合う最高の職場を用意してくださったと大喜びでした。

●試練の中で感謝をし続けて

しかし、ここからまた試練が始まったのです。その職場の仕事を教えてくださる先輩との関係がうまくいかなかったのです。私のことをよく思っていないのが、言葉や態度で伝わってきます。私は一生懸命がんばっているつもりでしたが、一つひとつ細かいところまで文句を言われたり、汚いきつい仕事は全部私に回ってきました。私の他に入ってきた新人も、この先輩とうまくいかず辞めてしまうということも起こっている状況でした。仕事の帰りには、慣れない環境の中、疲れもあり、辛くて涙が出ることもありました。神様が導いてくださった職場のはずなのに、なぜ、こんなことが起きるのかと、つまずきそうになる状況でした。このままでは、他の人みたいに私も辞めてしまったほうが楽なのではないかと考えもしました。でもそんな中、毎日毎日感謝をし続けました。神様が導いてくださった職場なのだから、何を言われても文句を言わないで感謝をしようと心に決めて、毎日毎日感謝をし続けることができました。  状況は変わらず1カ月が過ぎようとした頃、その先輩が他の病院に異動することが決まりました。そしてその時、その先輩の方から私に、今までのことを謝ってきてくださったのです。私はとても驚きました。そして私に「出西さんはこの仕事に向いているから、がんばって」と声をかけてくれたのです。私はとても辛かった状況が一変し、本当にとても神様に感謝をしました。  それからもう3年近くなりますが、今も同じ職場で働いています。時給も上がり、またいろんな仕事も任されるようになり、とても働きやすい環境で、とても祝福されています。あのときに感謝をせずに辞めていたらと考えるとぞっとします。本当に神様は最善をしてくださるお方です。

(月刊「雲の間にある虹」2014年5月号 雲の間にある虹出版発行 より転載)